スタンダードモデルの直列4気筒エンジンをベースに新たにスロットル開度に連動して最適な点火時期を供給するPGM-IGコントロールシステム(電子制御点火システム)の採用や吸・排気系の変更などが行われている。
バルブタイミングとバルブスプリングのバネレートの変更によって、出力ピークの回転数をCB400 SUPER FOURと比較して1,000rpm上方に設定することで、一層幅広いパワーバンドとするとともに、中・高回転域での出力特性を向上。
排気系は、CB400 SUPER FOURの4-1集合に対して、排気慣性を利用した180°集合の4-2-1タイプとするとともに、エキゾーストパイプの口元へ連通管を新設し、さらに、ボリュームアップされたアルミサイレンサーの採用とあいまって、エキサイティングな出力特性を実現。
吸気系は、CB400 SUPER FOURに対して、#2と#3のエアファンネルの長さを変更して排気系とのマッチングを図ると同時に、キャブレターセッティングの変更とあいまって、低回転域から高回転域に至る幅広い回転域で、スムーズで痛快なスロットルレスポンスとリニアリティを実現。
点火系は、エンジン回転数とスロットル開度、スロットルの区間移動速度をもとに最適な点火時期を連続的にコントロールするPGM-IGコントロールシステムを新たに採用。さらにプログラミングされた点火時期マップも出力特性の変更に合わせて最適化することによって、パーシャル域からのトランジェント出力の大幅な向上を実現。 出力特性図PGM−イグニッションマップ
出力特性の変更に合わせて、ドリブンスプロケットを42丁から45丁に変更することで、走行時の後輪駆動力をさらに向上させ、スロットル操作にリニアな加速フィーリングと施回性を実現。 駆動力線図
エンジン外観を艶ありの黒とする事で高級感と精悍さ、エンジンの存在感を演出している。
フレーム・足回り
ディメンションは、サスペンションのハードセッティングに応じて変更。さらにフレームは、CB400 SUPER FOURをベースにしながら、フロントエンジンハンガーの車体側を左右に連結するクロスパイプを追加することによって、エンジンとフレームの一体感を高め、ねじり剛性をCB400 SUPER FOURと比べて10%アップしている。
新たに採用した対向4ポットキャリパーは、従来のピンスライドキャリパーに対し、ブレーキング時の可動部(マス)を少なくすることが可能となり、初期レスポンス、リニアリティの向上がなされている。
また、油圧レシオの最適化、ブレーキホース材質の変更によって、入力に対する効力のみにとどまらず、ダイレクト感に富んだ、感性にマッチした自然なレバーストローク感・反力感が実現されている。 フロントブレーキ効力比較
ニュー・フローティングディスクの採用。
一般的にフローティングディスクは、温度変化によるディスクプレートの反りを少なくするとともに、レバータッチや遊びを安定させる効果があります。しかしこのシステムは、ローターを自由に膨張・収縮可能な構造とする必要(その究極の構造がレーシングマシンのブレーキシステム)があるため、これを一般市販車に採用する場合、長期間にわたる耐久性の向上や、ブレーキング時の打音の減少等を図る必要があります。
そこで今回は、従来システムに対し、フローティングピンの構造を変更することによって、セット荷重をより適切な値で安定させることが可能となり、耐久性の向上と反りの減少を両立させました。 ニュー・フローティングディスク
高μレジンモールドパッドの採用。
一般市販車のブレーキシステムには、晴天から雨天、市街地走行(低速・低温・低減速度)からワインディングロード(高速・高温・高減速度)まで、幅広い走行条件下における負荷の変化がブレーキパッドに求められます。この負荷の変化量はレーシングマシンと比較して一般市販車の方が広範囲に求められます。「CB400 SUPER FOUR バージョンS」においては、NRで採用した高μレジンモールドパッドを採用することで、温度変化や速度変化等、刻々と変化する状況に対し、安定した高いμ特性を発揮し、穏やかでフラットな制動感が得られるブレーキシステムを実現しています。
精悍なニューカラーコンビネーションの採用。
「CB400 SUPER FOUR バージョンS」の精悍なイメージを強調するため、足廻り各部のカラーコンビネーションにも徹底したこだわりを注ぎ込みました。
具体的には、前・後のブレーキキャリパーにマグゴールドの表面処理を施すとともに、フロントディスクハブを従来のゴールドからブラックに変更。
また、リアサスペンションについても、クッションスプリングアジャスター部にアルマイト処理を施したアルミ鍛造製のカバーを追加するとともに、ブラック塗装のスプリングの採用や、サブタンクのラベル変更を施しました。
さらに、ドライブチェーンには、高級感を演出するゴールドチェーンを新採用するとともに、前・後ホイールを艶ありブラック塗装とするなど、より精悍な足廻りを演出しています。